Vol.2
このコーナーでは、はるこ先生が漢字にまつわるさまざまな話題を皆様にご紹介します。
最近は個性的な名前を持つお子さんが増えているといわれていますが、実は明治時代にも自分の子どもに個性的な名前を付けた文豪がいるのです。
明治安田生命のウェブサイトには、毎年、生まれ年別の名前調査のランキングが掲載されます。
こちらのサイトを見ると、昔から時代を象徴する出来事や著名人にあやかって命名することが多かったことがわかります。
また、最近の傾向として、男性は「蓮」くんや「大翔」くん、女性は「結衣」ちゃんや「陽菜」ちゃんが人気とのことで、はるこ先生のような「○○子」という名前は、1970年ごろからあまり名づけられなくなっていったようです。
最近は名前ランキングには掲載されないような個性的な名前を持つお子さんも増えているといわれていますが、実は明治時代にも自分の子どもに個性的な名前を付けた文豪がいるのです。
その名は森鴎外。本名は森林太郎です。軍医としてドイツに留学し、帰国後は翻訳や小説執筆などの創作活動にも勤しんだことで有名です。
ところで、鴎外は生涯で5人の子どもを授かったのですが、その子どもの名前がとても個性的なのです。
いかがでしょうか。鴎外の子どもの名前、読めましたか?
正解は
です。長男の「於菟」以外は、それぞれマリー(Mary)、アンヌ(Anne)、フリッツ(Fritz)、ルイ(Louis)に当てたものでしょう。父が付けた国際的な名前が影響したのか、茉莉、杏奴、類は海外留学もしています。
長男の「於菟」は寅の異名だそうですが、於菟の息子の名前も個性的です。
真章と富は鴎外が名づけたそうです。また茉莉の息子は じゃく(Jacques)でこちらもハイカラですね。
さて、現在は子どもの名づけに付けられる漢字は法律で決められており、「常用漢字表」に掲載されている漢字と人名用漢字として定められた漢字しか使えません。
ちなみに、超漢字検索では、法令等で定められた漢字表に収録されている漢字は、文字情報の画面にその属性が表示されます。
それでは、現在の法律にあわせて子どもたちの名前に使われている漢字を、超漢字検索で調べて色分けしてみましょう。
※ 超漢字検索の文字情報と収録漢字の属性の詳細については「超漢字検索オンラインマニュアル 詳細編:文字情報を見る」をご覧ください。
於菟 | 茉莉 | 杏奴 | 不律 | 類 | |
真章 | 富 | 礼於 | 樊須 | 常治 |
常用漢字:黒
人名用漢字:青
常用漢字でも人名用漢字でもない漢字:赤
残念ながら於菟、、樊須は、現在は子どもの名前に使えません。
ともあれ、大切なお子さんの輝かしい未来を祈って素敵な名前を付けたいという親御さんの思いは、今も昔も変わらないのかもしれませんね。
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