Vol.10
このコーナーでは、はるこ先生が漢字にまつわるさまざまな話題を皆様にご紹介します。
5月5日のこどもの日は「
節句は日本の暦で季節の節目となる日で、伝統的な年中行事が開催されてきました。
中でも、人日の節句(1月7日)、上巳の節句(3月3日)、端午の節句(5月5日)、七夕の節句(7月7日)、重陽の節句(9月9日)は「五節句」と呼ばれ、特に重要視されています。
節句には
端午の節句は「
邪気を祓う薬草とされていた菖蒲を
平安時代中期に書かれた随筆『枕草子』の中で、作者の清少納言は
節は五月にしく月はなし。菖蒲、蓬などのかをりあひたる、いみじうをかし。……とほめ、菖蒲や蓬の香りを楽しんだり、菖蒲を髪飾りにするなど、宮中で端午の節句を楽しむ様子が描写されています。
現代語訳:節句の中でも端午の節句に及ぶ月はないわね。菖蒲や蓬などが一緒に香っているのは、本当にいい匂いで素晴らしい!……
清少納言はまた、別の章で
五月四日の夕つかた、青き草おほくいろうるはしく切りて、左右になひて、赤衣来たる男の行くこそをかしけれ。とも語っています。
現代語訳:(端午の節句の前日の)五月四日の夕方に、青い菖蒲の花をたくさん綺麗に切りそろえて、赤い衣を着た男が両肩にかついで歩く姿がステキ!
旧暦の5月5日は梅雨の時期にあたります。宮中でも、雨露を滴らせながら満開に咲き誇る菖蒲の花を楽しんだことでしょう。
中国から伝わった端午の節句は、日本でも奈良時代には定着し、宮廷の重要な行事として祝われてきました。
もともと「端午」は月のはじめの「
鎌倉時代に入り武家社会になると、同じ読みである「菖蒲」と「尚武」(武道や武勇を重んじること)をかけて、鎧兜や五月人形を室内に飾り、勇ましい男の子の成長を祝う行事へと変化しました。
鯉のぼりを飾るようになったのは江戸時代からで、龍門という急流を登りきった鯉は龍になれるという中国の伝説「鯉の滝登り」にちなんで、立身出世の願いがこめられるようになりました。
※「鯉の滝登り」伝説は、立身出世の関門を突破する意味のことわざ「登竜門」の由来でもあります。
端午の節句のお祝いには、さまざまな縁起ものの料理がふるまわれます。
柏餅は、上新粉の白い餅に、こしあんやみそあんを挟んで、柏の葉で包んだ和菓子です。
端午の節句に柏餅を食べる風習は、江戸時代に東日本を中心に広まったようです。
柏の葉は新芽が出るまで古い葉が落ちないことから「家系が途絶えない」とされ、子孫繁栄の縁起物として柏餅を食べるようになったといわれています。
※ 撮影に使われた柏餅は、この後はるこ先生がおいしくいただきました。
ちまき(粽)は中国発祥の料理です。中国では、5月5日は中国戦国時代の詩人、屈原が入水自殺をした命日とされ、この日にちまきを川に投げ込んで供養したのが由来とされています。
日本には平安時代頃に伝わり、端午の節句と結びついて食べられるようになりました。
お米や餅を笹などの葉で三角形に包んで加熱する保存食で、もとは
日本のちまきは、餅のなかにあんを包んだり、きな粉や砂糖醤油をつけたりして食べますが、中国や東南アジアのちまきは、肉、たけのこ、しいたけなどを包んだものが主流です。
筍は成長が早く、天を目指してまっすぐに育つことから、端午の節句に欠かせない食材とされています。
また、端午の節句では「
やはり魚も語呂合わせやげんかつぎで選ばれているようですね。
今年の端午の節句のお祝いは、縁起のよい季節の旬の食材を取り入れて楽しんでみてはいかがでしょうか。
東京タワーでは、4月5日(金)~5月6日(月・休)まで、東京タワーの高さ333mにちなんで333匹の「鯉のぼり」と、全長6mの巨大「さんまのぼり」が泳いでいます。
東京タワーでは毎年秋に、「三陸・大船渡 東京タワーさんままつり」を開催していて友好関係にあるため、岩手県大船渡市へ復興へのエールをこめて、大漁旗とさんまのぼりを掲げているのだそうです。
地上から見上げるもよし、展望台から見下ろすもよし。雄大に泳ぐ鯉のぼりとさんまのぼりをお楽しみください。