Vol.9
紀伊國屋書店新宿本店
今回は、夏休み特別企画として、紀伊國屋書店新宿本店の店員さんに、夏休みに読むのにぴったりの、漢字や日本語に関する書籍を紹介していただきました!
整然と並べられた国語辞典
全国そして海外に店舗をもつ紀伊國屋書店の新宿本店は、地下1階から8階と別館(1、2階)からなる巨大書店です。まずは、8階の学習参考書・語学・辞書コーナーへ。
エレベーターが開くと、そこには英語学習の参考書が平積みされ、英会話テキストの音声が流れています。
通路を右手に進むと、分厚い国語辞典や話題の新刊が平積みになっている棚を発見。辞書にはそれぞれ発行年月が書かれた手書きpopが付けられていて、最新版がすぐにわかるようになっています。日本語関連書籍のコーナーは、語学・辞書コーナーと学習参考書コーナーのちょうど境にあります。
語学・辞書コーナー担当の鬼沢(きざわ)さんに、この夏おすすめの漢字の本を尋ねたところ、たくさんの書籍を両手に抱えて戻ってきてくださいました。
まずは、夏休み真っ最中のお子様向けにピックアップしていただいた書籍をご紹介しましょう。
鬼沢さんが最初に紹介してくださったのは、『かんじのぼうけん』シリーズ。「にんべん」「さんずい」「きへん」「てへん」の4冊からなり、それぞれの部首の漢字を中心に、楽しみながら漢字を学べます。
見開きページの左側に見出しの漢字が、右側には漢字の意味をあらわすイラストと、読み、意味、熟語、なりたちが一覧できるようになっています。
鬼沢「五味太郎さんの味わいのあるイラストについているコメントが面白く、絵本としても楽しめます。子ども向けの辞書としては横組みになっているのも新鮮で、表紙もカラフルでかわいいですね。4冊セットでお子様へのギフトとして買われる方も多くいらっしゃいます。」
外国人向けの日本語教育のコーナー
漢字学習のテキストが所狭しと並ぶ
2冊目は、『漢字部首カ-ド+部首でおぼえる漢字プリント』です。「勉強ひみつ道具プリ具」シリーズの第3弾です。
99枚の「部首カード」の表面には部首が大きく書かれています。裏面には、部首の読みや意味、由来に加え、各学年で習うその部首の漢字が一覧できるようになっています。漢字の読みや筆順を確認しながら漢字の練習ができる「漢字プリント」が付属しています。
鬼沢「カードがグループごとに色分けされているので覚えやすいと評判です。学年ごとに習う漢字が紹介されているのもわかりやすいですね。シリーズ第11弾の『四字熟語カルタ+四字熟語プリント』とあわせて人気です。」
3冊目は、『さわって!あそんで!みんなの漢字 ―パタパタしかけ絵本』です。 物語を読み進めると、ページのところどころに扉型の切り込みが入っており、その扉を開いて漢字の理解を深めるというしかけ絵本になっています。
鬼沢「漢検(日本漢字能力検定協会)から出されている、しかけ絵本としてもちょっとかわった絵本です。まちがい探しやクイズもあり、ゲーム感覚で楽しみながら親子で漢字を学ぶことができます。からだの部位や曜日をあらわす漢字を紹介するページには、英語のフレーズや英単語が併記されているので、漢字を学びながら英語も覚えられます。この本ではじめて力こぶの英単語を知りました(笑)」
お子様向けの本は、8階の学習参考書コーナーや日本語教育コーナー、6階の児童書コーナーなどでご覧いただだけます。
『かんじのぼうけん』〈1〉 にんべん | |
五味 太郎 著 | |
旺文社、2013年3月発売、882円(税込) | |
⇒かんじのぼうけん 〈1〉 にんべん ⇒かんじのぼうけん 〈2〉 さんずい ⇒かんじのぼうけん 〈3〉 きへん ⇒かんじのぼうけん 〈4〉 てへん | |
『漢字部首カ-ド+部首でおぼえる漢字プリント小学校1~6年』 eduコミュニケーションMOOK 勉強ひみつ道具プリ具 第3弾 | |
深谷 圭助 著 | |
小学館、2009年4月発売、1,365円(税込) | |
⇒漢字部首カ-ド+部首でおぼえる漢字プリント小学校1~6年 eduコミュニケーションMOOK 勉強ひみつ道具プリ具 第3弾 ⇒四字熟語カルタ+四字熟語プリント小学校1~6年 eduコミュニケーションMOOK 勉強ひみつ道具プリ具 第11弾 | |
さわって!あそんで!みんなの漢字 ― パタパタしかけ絵本 | |
大塚 ゆうこ 作/のじま まゆみ 絵 | |
日本漢字能力検定協会、2010年2月発売、1,995円(税込) | |
⇒さわって!あそんで!みんなの漢字
― パタパタしかけ絵本 ⇒さわって!あそんで!みんなの漢字 漢検サイト (※漢検サイトでは、本書中の「名まえカード」がダウンロードできます。サイトの「くわしくはこちら」からどうぞ。) |
つづいて鬼沢さんには、大人向けの漢字本をご紹介していただきました。
語学辞書担当の鬼沢さん
「お子様から大人まで楽しめる本がそろっています。
夏休みに、ぜひお越しください!」
数ある難読漢字・難読語解説本の中からおすすめしていただいたのは、『ウソ読みで引ける難読語辞典』です。約3000語の難読語の読み方と意味が、ジャンルごとに紹介されています。
最大の特徴は読み方のわからない難読語を当てずっぽうで検索できる「ウソ読み索引」です。読みに自信がなかったり間違えて覚えてしまっていても、調べたい難読語にたどりつくことができます。
鬼沢「正しい読み方がわからなくても、適当に見当をつけた読み方で探せてしまいます。たとえば、ウソ読み索引の『いるか』の項目には、『河豚(ふぐ)』『海象(せいうち)』『海驢(あしか)』が並んでいるので、『いるか』で『河豚』が引けてしまうんです!」
※ 反対に、「海豚(いるか)」を探したいときには、ウソ読み索引の「うみぶた」や「ふぐ」から探すことができます。
『白川静式小学校漢字字典』は、小学校で習う1006字の漢字の成り立ちが丁寧に解説されています。著者の小寺誠さんは元小学校の校長先生だったそうで、古代文字のフラッシュカードなど、授業でも使える工夫が随所に見られます。漢字研究の大御所、白川静先生の研究成果を受け継いだ、読み応えのある一冊です。
鬼沢「『常用字解』など、白川静先生の本に触れる入り口になる本だと思います。子ども向けに書かれていますが、大人の方にも読まれています。『常用字解』まではハードルが高いかな……と思われる方にも、字のなりたちを見て楽しんでいただけます。漢字に親しむ入り口として面白いのではないでしょうか。」
最後に紹介してくださったのは、『漢字ときあかし辞典』です。常用漢字を含めた2,320字の漢字を、その“個性”にあわせたキャッチフレーズとともにわかりやすい文章で紹介しています。表紙の迷路でも遊べます。
鬼沢「自分の名前に使われている漢字を調べる方が多いようです。漢字それぞれにつけられたコメントが面白く、読み物としても楽しめる辞書です。5月に発売された『部首ときあかし辞典』とともに売れ筋の定番商品になっています。」
今回紹介した本以外にも、漢字パズルを解くための辞書『漢字パズル辞典』(学研辞典編集室編、学研教育出版)や、漢字検定対策として、語呂あわせで難しい漢字を覚えられる本『書くだけで幸せになるパワー漢字』(根本 浩著、徳間書店)なども人気があるそうです。
また、最近は、某テレビ番組の影響で、二字熟語の辞書を探しに来店される方も多いとか。漢字の辞書の進化には驚くばかりです。
ウソ読みで引ける難読語辞典 | |
篠崎 晃一 監修 /玄冬書林 編著 | |
小学館、2006年10月発売、各1,890円(税込) | |
⇒ウソ読みで引ける難読語辞典 | |
白川静式小学校漢字字典 | |
小寺 誠 著 | |
フォ-ラム・A、2011年2月発売、2,625円(税込) | |
⇒白川静式小学校漢字字典 | |
漢字ときあかし辞典 | |
円満字 二郎 著 | |
研究社、2012年3月発売、2,415円(税込) | |
⇒漢字ときあかし辞典 ⇒部首ときあかし辞典 |
新刊書担当の白井さん
「笑って、楽しめて、学べる本です!」
次に、2階の文学・文庫・新書コーナーへ。
エレベーターを降りると、中央の電子書籍コーナーを境に、左手側が文庫や新書のコーナー、右手側が文学書や催事のコーナーになっています。催事コーナーには芸能人の書いた書籍やサブカルチャーの棚も設置されています。新刊書、話題の本、おすすめの本をはじめ、面白そうな本や興味深いタイトルの本が整然とスペースいっぱいに並べられていて、まさに本との出会いの場です。それにしても、このフロアだけでいったい何冊の本が棚に納められているのでしょうか……。
手書きの本の紹介popに惹かれてついついいろいろと手を伸ばしそうになりますが、本日の目的は漢字本の取材です。
ここでは、新刊書担当の白井さんに、サブカルチャーコーナー厳選の2冊を紹介していただきました。
『ことば絵本 明日のカルタ』は、バラエティ番組の放送作家としておなじみの倉本美津留さんのメッセージ集です。さりげない一言が心に染み渡ります。
少し仕事で疲れて帰宅した夜、寝る前に開いた1ページが、明日への活力に繋がるかもしれません。
お子様への読み聞かせにもおすすめです。
店頭には、著者の倉本美津留さん直筆のサイン色紙も展示されていました。ご来店の際は、ぜひ色紙にもご注目ください!
白井「カルタのように『あ』から五十音順に並べられた言葉と、その言葉に対する補足的なメッセージが『教え』のように綴られていて、生き方を学べる本にもなっています。イラストも独特でとってもかわいいです。大人が読んでも子どもが読んでも楽しめる本になっていると思います。」
『角川必携国語辞典』を擬人化した
「角川必携くん」(イラスト:宮尾和孝)
(『学校では教えてくれない!
国語辞典の遊び方』より)
辞書オタクで日本初の「学者芸人」であるサンキュータツオさんが書いた『学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方』は、学生時代に買った国語辞典の面白さを再認識させてくれます。
長年本棚でホコリをかぶったままの国語辞典も、これを読むと個性的なイケメン辞書に見えてくるのではないでしょうか。
白井「難しいイメージのある国語辞典ですが、この本は国語辞典の遊び方を紹介する本です。辞書を擬人化したり、チャートでおすすめの辞書を選んでくれたり、やわらかい一面もありながら、それぞれの辞書の特長をしっかりととらえて書かれていて、辞書を選ぶ手助けをしてくれる本になっています。いろいろな楽しみ方ができる本だと思います。」
ことば絵本 明日のカルタ | |
倉本 美津留 著 | |
日本図書センター、2013年6月発売、1,365円(税込) | |
⇒ことば絵本 明日のカルタ ⇒『明日のカルタ』特設サイト (※特設サイトでは、倉本さんが読み上げた音声データをダウンロードできます。) | |
学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方 | |
サンキュータツオ 著 | |
角川学芸出版、2013年3月発売、1,365円(税込) | |
⇒学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方 |
いかがでしたか?
紀伊國屋書店新宿本店には、今回紹介した本以外にも、面白くてためになる漢字や日本語の本が揃っています。ぜひ足を運んで、お気に入りの本を見つけてください。