超漢字Vは、Windowsとは関係なく動いていた従来の超漢字4とは異なり、Windowsの上で動きます。一見して構成が複雑になったように見えますが、Windowsの他のアプリケーションと同時に使える、Windows用の多くの周辺機器やユーティリティが使える、インストールが簡単など、数多くのメリットが生じます。
Windowsの上で超漢字(TRON)という別のOSを動かすために、超漢字Vでは、VMware Playerによる仮想化テクノロジを利用しています。仮想化(Virtualization)というのは、ソフトウェアによりパソコンのハードウェアの振る舞いをマネて、仮想的なハードウェア環境を実現するという意味です。すなわち、WindowsとVMwareの組み合わせにより、パソコンのハードウェアと同じ動きをする環境がソフト的に実現されますので、この上で超漢字という別のOSを動かせるわけです。
一方、従来の超漢字4では、VMwareによる仮想化を行わず、パソコンのハードウェア上で直接TRONのOSが動いていました。仮想的な環境ではなく、ハードウェア上で直接動いていたという意味で、従来の超漢字4までのOSは「ネイティブ版」と呼ぶことがあります。
ネイティブ版の超漢字は、Windowsがなくても動きます。そのため、コンパクトで省資源、リアルタイム(高速)、起動が速いといったTRONの特長を最大限に活かすことができました。しかしながら、多くの周辺機器やプリンタなどに対するドライバは、すべて超漢字専用のものを用意する必要があり、新しい周辺機器へのサポートが十分にできない場合がありました。
これに対して、「超漢字V」はWindowsの上で動きますので、周辺機器に対するドライバ類もWindows用のものがそのまま利用でき、超漢字用のドライバを別途開発する必要がありません。また、最近のパソコンは、安価なものでも、Windowsの利用に十分なCPU性能やメモリ容量を持っており、ネイティブ版超漢字の特長であった省資源等のメリットを気にする必要は少なくなってきました。こういった時代背景から、Windowsと超漢字の両方のメリットを活かせるように、新しく開発されたOSが「超漢字V」なのです。