書庫管理

超漢字Vには、けむ氏作の書庫管理がはじめから登録されています。

書庫管理とは、実身/仮身ネットワークをひとつにまとめ、圧縮/復元できる超漢字Vユーザ必携のツールです。

以下に、付属の使用説明書を掲載します。

◆「書庫管理」は弊社サポート対象外のフリーソフトです。

◆利用者自身の責任のもとでご利用ください。本ソフトの利用によって生じた損害に対して、パーソナルメディア社は補償の義務を負いません。

◆パーソナルメディア社は、本ソフトに関するお問い合わせをいっさいお受けすることはできません。ご了承ください。

◆超漢字Vへの移植は、パーソナルメディア株式会社が行いました。以下の説明文の中に含まれるバージョン番号は、移植前のものです。実際のバージョン番号は、超漢字Vへの移植に伴い変更されています。

◆使用説明書はもともと実身/仮身モデルで作成されていましたが、取扱説明書への収録にあたっては、取扱説明書で開けるように内容の一部を変更しています。また、機種に依存した記述など、超漢字Vでの使用に際して必要ないと思われる記述を一部削除しています。

■書庫管理使用説明書

∇はじめに

BTRONは、TADにより文章・図形から動画や音声などの各種メディアデータの統一的取扱いを達成し、また実身/仮身のネットワークファイル構造によりこれらのデータを有機的に結合できるようにデザインされています。

実身/仮身ネットワークにより、各種データを生きた状態で有効に利用することができますが、実際にはこのネットワーク内にはすでに用済みの死んだデータや、滅多に活用することのない不活性なデータ群が、澱が溜まるように蓄積されてきます。またさらに重要な事に、実際に実身/仮身ネットワークを実現するためには複雑なファイルシステムが必要であり、それは現在の通信ネットワークでは、直接伝送できない性質のものであるということです。

BTRONコンピュータ文化の健全な発展のためには、データ・プログラムを問わず、フリーソフトの充実が不可欠であり、そのためには通信回線を通して配布できる形態に実身/仮身ネットワークを織り上げる手段が必要になります。本フリーソフトは、その手段を提供するものであり、一般的にはアーカイバと呼ばれるツールに分類されるものです。

∇特徴

・LHAで開発された圧縮ルーチンを用いているため、実用上最高の圧縮率が得られる。

・ほとんどの処理をバックグラウンドで行っているため、フォアグラウンドでは同時に他の作業が行える。

・書籍と書庫のメタファーによりインタラクティブに操作できる。

・書庫(アーカイブ)はTADデータ構成に準拠している。

∇書籍

実身/仮身ネットワークのノードは一つの文書や図形です。そのため、本アーカイバではそれらの結合であるハイパーテキストを詰めこんだデータ構造を、「書籍」と呼びます。ハイパーテキストに対するハイパーブックという訳です。

実身/仮身ネットワークが、生きた有機的なデータ構造とするならば、書籍は凍結された仮死状態のデータ構造と言えます。

書籍

本アーカイバでは、実身/仮身ネットワークを書籍に詰めこみ/圧縮することを「バック」と呼びます。また、この逆の過程を「アンパック」と呼びます。

∇書庫

本アーカイバでは、書籍を格納する実身をアーカイバの処理の対象とします(書庫管理では、書庫データをTAD仕様の指定付箋として実装していますが、現在の基本エディタでは指定付箋を表示/操作できないため、このような仕様となっています)。そのため、書籍を格納するという意味で、この実身を「書庫実身」と呼びます。通信ネットワーク上へのアップロード/ダウンロードはこの書庫実身単位で行います。

◆[参考] 当然一つの書庫には複数の書籍が格納できるべきですが、実装上の理由により、当面一つの書庫実身に格納される書籍は一つに制限されます。

書庫実身

∇実身/仮身ネットワークを書籍にパックする

原紙入れから書庫管理の原紙「空書庫」を一つ取り出し、ピクトグラムのダブルクリックか、実行メニューにより書庫管理を起動してください。横長のサイズ固定のウィンドウが開きますので、このウィンドウにパックしたい実身を参照している仮身を貼り込んでください。その実身から到達可能なすべての実身を検索し、パネル表示します。ここで、開始ボタンを押すことによりパック処理が始まります。パック処理中は、進行状況の情報がウィンドウ内に表示されます。

パック処理が終了すると、書籍(形は付箋です)が書庫ウィンドウ内に表示されます。この段階では[書籍情報]及び[実身名一覧]メニューが使用可能になっていますので、圧縮率などを知る事ができます。

なお前述の通り、現在の版では一つの書庫には一つの書籍しか格納できませんので、別の仮身を貼り込もうとしても拒否されます。

参考 パック処理はバックグラウンドで行われますので、他のウィンドウに切り替えて別の作業を続けることができます。パック処理の終了はシステムメッセージパネルによってユーザーに通知されます。

∇書籍を実身/仮身ネットワークへアンパックする

アンパックしたい書籍を格納している書庫実身をウィンドウに開きます。書庫ウィンドウ内にある書籍をドラッグして別のウィンドウに移動することにより、アンパック処理が起動します。確認用のパネルが出ますので、開始ボタンを押してください。書籍をドラッグした位置にアンパックされた実身/仮身ネットワークを参照する仮身が貼り込まれます。

注意 仮身が貼り込まれた後も、実身/仮身ネットワークのアンパック作業はバックグラウンドで続行していますので、アンパック処理終了の表示がでるまでは、書庫ウィンドウを閉じないでください。

∇書庫ウィンドウの背景色について

書庫ウィンドウの背景色は開いた仮身の背景色と連動しています。書庫実身を参照している仮身にたいして、メニューの「仮身操作/属性変更」により開いた仮身の背景色を設定して下さい。

∇実身名一覧パネルについて

実身名一覧メニューを選択することにより、実身名一覧パネルが表示されます。スクロールセレクタを操作することにより書籍内のすべての実身の実身名を参照することができます。

∇書籍情報パネルについて

書籍情報メニューを選択することにより、次のような書籍情報パネルが表示されます。

書籍情報パネル

書籍作成日時は、実身/仮身ネットワークを書籍にパックした日時です。

◆[参考] このデータは書籍内に記録されていますので、書庫実身の生成日時やダウンロード/アップロード日時とは無関係に常に正しく書籍作成の日時を表示します。また、この項目はβ版で作成された書庫/書籍についても正しく表示します。

実身総サイズは、元の実身/仮身ネットワークに含まれるすべての実身の合計のサイズであり、かっこ内は実身数です。

パックサイズは、実身に含まれるリンクや実身名や実身間の参照情報など、元の実身/仮身ネットワークを復元するのに必要な情報を含む、非圧縮の場合の書籍のサイズです。特に深い意味はありません。かっこ内は実身総サイズに対する比率です。

書籍サイズは、圧縮された結果得られた実際の書籍のサイズです。かっこ内は実身総サイズに対する比率です。このかっこ内の値を圧縮率と定義することにします。

◆[参考] 書庫にはTAD仕様を満たすための付加的なセグメントが書籍に追加されますので、書庫のサイズはさらに数10バイト増加します。

∇パックした書籍をアップロードする

書籍をアップロードする場合、書籍単位での送信はできませんので、書庫実身そのものを送信します。

∇ダウンロードファイルをアンパックする

ダウンロードしたファイルをアンパックするためには次の二つの方法があります。

(1)空の書庫にダウンロードファイルの仮身を貼り込む。

適当な名前の空の書庫を用意し、その空書庫にダウンロードファイルを参照する仮身を貼り込んでください。書庫管理は、貼り込まれた仮身が書庫(ダウンロードファイル)を参照している場合は、単にその中の書籍を空書庫の中にコピーします。元のダウンロードファイルはくず実身になります。

(2)ダウンロードファイルに書庫管理の実行機能付箋を貼る。

ダウンロードファイルに書庫管理の実行機能付箋を貼ることにより、ダウンロードファイルを書庫実身として扱うことができます。

これらの方法によって用意した書庫実身から前記方法により書籍をアンパックしてください。

∇制限事項

・書籍の名前は16文字に制限されます。

・書籍(書庫)内に格納可能な実身の数は最大650です。

・書庫管理起動中は、レジュームはできません。

・書庫内の書籍を他の書庫ウィンドウに直接貼り込んだ場合の動作は保証できません。

∇転載その他について

・これはフリーソフトです、著作権は放棄していません。

・配布/転載は自由に行って頂いて結構です。ただし、再配布/再転載を妨げないことおよびこの説明書を添付することを義務付けます。

・このツールの使用による直接的/間接的な損害の一切について作者は責任を負うものではありません。

∇謝辞

書庫管理を完成するにあたって、β版と実験版のレポートを初め、様々な提案/コメント/アイディアを頂いた、FPMCのプログラミング実験室の皆さんに深く感謝します。とくに、本アーカイバの名称からHMIのデザインにいたるまで、様々なアイディアを惜しみなく提供して頂いたりんさんには、深謝します。りんさんの提案がなければ、本アーカイバはこのような形態にはならなかったでしょう。

しかしながら、本アーカイバの出来具合が不十分であるならば、それはそれらの提案を生かしきれなかった作者の力不足によるものであることを申し添えます。

最後に ascon.exe を製作されたH32さんに感謝します。ascon.exe によって最新のコンパイラが使用できるようになり、traditional-Cの世界から完全に解放されました。けむ

■書庫管理の履歴

書庫管理の履歴一覧
バージョン番号 変更内容
R1.010 正式公開版第1版
R1.011 ascon.exe対応
R1.012 書き込みレコード生成時に連続ブロックを確保しないように修正
R1.013 転送用小物ファイルなど不正な形式のTADに対応
サイズ0のレコードを含む実身をパックできないバグをフィックス(フロッピー実身の実身コピーでできるキャビネットがこれに該当している)
R1.014 ウィンドウの背景色が開いた仮身の背景色と一致するように修正
連続ブロックを確保できないときにのみ非連続ブロックを確保するように修正
R1.020 公開版
ウィンドウの背景色が開いた仮身の背景色と連動するようになりました。メニューの「仮身操作/属性変更」で仮身背景色を指定することによりウィンドウの背景色を変えることができます。
ascon.exe(H32さん作)とBorland C++ 3.1を使用することにより処理速度を向上しました(R1.010比、パック時約1.3倍、アンパック時1.1倍)。
不正な形式のTADデータをパックできるようになりました(転送用小物ファィルがこれに該当)。
サイズ0のレコードを含む実身をパックできるようになりました(フロッピー実身の実身コピーでできるキャビネットがこれに該当)。
ファイルシステムの空き容量が乏しい場合でも可能な限りパック/アンパックするようになりました。
R1.030 SUS9312添付
ウィンドウのピクトグラム変更
原紙のピクトグラム変更
(ピクトグラムデータ番号31)

■書庫管理:使用上の注意

フリーソフト「書庫管理」

使用上の注意

パーソナルメディア株式会社

初版:1996年11月18日

フリーソフト「書庫管理」について、これまでに知られている注意事項を説明します。使用上の参考にしてください。

†「書庫管理」は弊社サポート対象外のフリーソフトです。

∇複雑なネットワーク構造のパック

「書庫管理」は、処理の対象になる仮身から始まるすべての実身/仮身ネットワーク構造を解析し、ひとつの実身にパック(圧縮)します。このため、参照の複雑な実身/仮身ネットワークをパックすると、まれに構造の解析を誤ることがあるようです。

重要なデータをパックしたときには、できあがった書庫実身をいちどアンパック(伸長)して、構造を確かめておくと良いでしょう。

∇複数の書庫管理の起動

「書庫管理」のウィンドウを複数開き、同時にパック/アンパックを行うと、キーボードやマウスからの入力を超漢字Vが受け付けなくなったり、実身/仮身ネットワーク構造を解析を誤る(前項参照)ことがあります。

キーボードやマウスからの入力ができなくなった場合は、強制終了([Shift]+[Pause]キーを押します)をしてみてください。アクティブウィンドウが強制終了され、入力ができるようになることがあります。また、強制終了をしても通常の状態に戻らないときは、コンピュータ本体をリセットするしかありません。

「書庫管理」のウィンドウは、複数開かないようにしてください。

†強制終了をした場合、アクティブウィンドウで編集していたデータは廃棄されます。

∇フロッピーディスク上の動作

パック/アンパックをフロッピーディスク上で行うと、処理に必要なディスク容量を超えてしまい、処理が中断されることがあります。ディスク容量の不足でパック/アンパックの処理が中断された場合、キーボードやマウスからの入力を超漢字Vが受け付けなくなることがあります。

この問題を回避するために、フロッピーディスクにある書庫実身をアンパックするときには、その実身をいちどハードディスクに実身複製してからアンパックしてください。またフロッピーディスクに書庫実身を作るときには、ハードディスク上でパックをした実身を実身複製してください。

仮身の複写ではありません。実身複製の操作方法については、実身を複製するをご覧ください。

以上。

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