TRONコードでは、文章中に埋め込まれた言語指定コードによって、「スクリプト」と呼ばれる有限個の文字の集合体を切り替えることにより、扱う文字の数を増やしています。
言語指定コードは 4桁の16進数で 0xFEnn となり、末尾の2桁 nn の部分でスクリプトの指定をします。1つのスクリプトは最大48,400個の文字から成り、スクリプト中の個々の文字は2バイトで指定されます。これを越える文字数の文字セット(GT書体セットなど)では、複数のスクリプトを併用します。
TRONコードで利用できるスクリプトの数は、言語指定コード(0xFEnn) の nn の部分が1バイト(0xFE21 ~ 0xFE3F)の場合に31面で、この場合に扱える文字の総数は48,400×31=1,500,400、すなわち約150万文字となります。ただし、nn は2バイト以上にも拡張できるので、その機能を使えば、事実上無限個の文字を扱えます。言語指定コードはOSによって自動的に処理されるものであり、通常の利用方法では、ユーザが言語指定コードを意識する必要はありません。
†マイクロスクリプトや基本表計算の文字列処理関数を使うときや、基本表計算・マイクロカードの並べ替えをおこなうときには、言語指定コードを意識する必要があります。
∇言語指定コードも1文字と数える
文字数の制限のあるところでは、言語指定コードも1文字と数えます。例えば、実身名は20文字までという制限がありますが、システムスクリプト以外の文字を使うときは、スクリプトを切り替えるために言語指定コードが入るので、使える実身名は20文字よりも短かくなります。
■言語指定コードの一覧
具体的な言語指定コードとその意味は以下のようになります。
面 | 言語指定コード | 内 容 |
---|---|---|
第1面 | FE21 | システムスクリプト JIS第1水準, JIS第2水準, JIS第3水準, JIS第4水準, JIS補助漢字, 中国語GB 2312, 韓国語KS X 1001, 六点点字、八点点字 |
第2面 | FE22 | GT書体フォント1 |
第3面 | FE23 | GT書体フォント2 |
第4面 | FE24 | GT書体フォント3(予約) |
第5面 | FE25 | 予約 |
第6面 | FE26 | 中国語伝統字(繁体字)1(Traditional Chinese) |
第7面 | FE27 | 中国語伝統字(繁体字)2(予約) |
第8面 | FE28 | 大漢和辞典1 |
第9面 | FE29 | 大漢和辞典2、記号等 |
第10面 | FE2A | 中国伝承文字、少数民族文字 |
第11面 | FE2B | 予約 |
第12面 | FE2C | 予約 |
第13面 | FE2D | 予約 |
第14面 | FE2E | 予約 |
第15面 | FE2F | 予約 |
第16面 | FE30 | Unicode基本多言語面1(*) |
第17面 | FE31 | Unicode基本多言語面2(*) |
第18面 | FE32 | 予約 |
第19面 | FE33 | 予約 |
第20面 | FE34 | 予約 |
第21面 | FE35 | 予約 |
第22面 | FE36 | 中国拡張(簡体字)1 |
第23面 | FE37 | 中国拡張(簡体字)2 |
第24面 | FE38 | 予約 |
第25面 | FE39 | 予約 |
第26面 | FE3A | 予約 |
第27面 | FE3B | 予約 |
第28面 | FE3C | 予約 |
第29面 | FE3D | 予約 |
第30面 | FE3E | 予約 |
第31面 | FE3F | 予約 |
* CJK統合漢字とハングルシラブルは除外されている
■ゾーン
それぞれのスクリプトの文字は、その文字コードの第1オクテットと第2オクテットの最上位ビット(MSB)によって、便宜的にAゾーンからDゾーンにの4つの部分にわけられます。
†システムスクリプトでは、ゾーンごとに異なる文字セットが割りあてられています。
†灰色の部分は、TRONコードによりエスケープコードや未使用領域に指定されています。
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