かな漢字変換で使われる「キー割り当て定義ファイル」について説明します。
!定義ファイルの変更は、原則としてサポート対象外となります。定義ファイルの設定方法などに関するお問い合わせはお受けできかねますので、あらかじめご了承ください。
!定義ファイルの内容に誤りがある場合や予期しない現象により、以後の超漢字Vの動作が不安定となる可能性があります。定義ファイルを登録する前に、必ずディスク内のデータのバックアップを取っておいてください。
!定義ファイルの登録は、他の不要なウィンドウをすべて閉じた状態で行うようにしてください。
!超漢字Vに標準で登録されている定義ファイルと同名の定義ファイルを登録するのは避けてください。
■キー割り当て定義ファイルの内容
基本文章編集をつかって、文章実身に、かな漢字変換時のキーボードから入力する機能キーと変換操作との対応を記述します。
各行(段落)の形式は以下の通りです。
Func [Meta:]Keycode Stat
各項目はスペースまたはタブで区切ります。
"#"以降はコメントとみなされ、無視されます。空行も同様に無視されます。
同じキーに対する定義が複数定義されている場合、先に記述した方が有効となり、後に記述した方は無視されます。
Func
かな漢字変換に入力する変換コマンドを表します。
変換コマンドについては後述します。
Meta
キー押下時のメタキーの押下状態、および書記方向を表します。
メタキー、メタキー状態、および書記方向の記述の方法については後述します。
KeyCode
キーを表します。
文字キーは''で括って記述します。
10進もしくは16進数表記により、文字コード/キーコードを記述することもできます。
キーを表す名前、およびキーコードと、実際のキーボードの刻印との対応については後述します。
Stat
対象となるかな漢字変換状態を表します。
記述方法については後述します。
■変換コマンドの記述方法
Func には、以下にあげる変換コマンドが記述できます。
変換コマンド | 機能 |
---|---|
V変換 | 変換(文節長は短くなる) |
V逆変換 | 逆変換(文節長は短くなる) |
B変換 | 変換(文節長不変、最初は末尾が着目文節) |
B逆変換 | 逆変換(文節長不変、最初は末尾が着目文節) |
L変換 | 変換(文節長不変、最初は先頭が着目文節) |
L逆変換 | 逆変換(文節長不変、最初は先頭が着目文節) |
ひらがな変換 | ひらがなに変換する |
カタカナ変換 | カタカナに変換する |
英字変換 | アルファベットに変換する |
半角変換 | 半角文字に変換する |
半角英数変換 | アルファベットの半角文字に変換する |
全よみ変換 | よみに戻す |
コード変換 | 文字コードから変換する |
連続コード変換 | 連続して文字コードから変換する |
固定入力 | 固定入力モード |
確定 | 候補の確定 |
全確定 | 入力の確定 |
ひらがな確定 | ひらがなによる確定 |
カタカナ確定 | カタカナによる確定 |
V次文節 | 右移動 |
V前文節 | 左移動 |
V右移動 | 右移動 |
V左移動 | 左移動 |
L右移動 | 右移動(ループ状) |
L左移動 | 左移動(ループ状) |
V先頭移動 | 先頭への移動 |
V末尾移動 | 末尾への移動(末尾空文節あり) |
B先頭移動 | 先頭への移動 |
B末尾移動 | 末尾文節への移動(末尾空文節なし) |
V一字消 | 直前の一字を削除する |
B一字消 | 直前の一字を削除する(再変換あり) |
全取消 | 全て取り消す |
V取消 | 取り消す |
B取消 | 取り消してよみに戻す |
字削除 | 一字を削除する |
V次候補 | 次の候補へ移動(文節長は短くなる) |
V前候補 | 前の候補へ移動(文節長は短くなる) |
L次候補 | 次の候補へ移動(文節長不変) |
L前候補 | 前の候補へ移動(文節長不変) |
次同音語 | 次の同音語へ移動 |
前同音語 | 前の同音語へ移動 |
V次候補一覧 | 次の候補ブロックへ移動(文節長は短くなる) |
V前候補一覧 | 前の候補ブロックへ移動(文節長は短くなる) |
L次候補一覧 | 次の候補ブロックへ移動(文節長不変) |
L前候補一覧 | 前の候補ブロックへ移動(文節長不変) |
確定改行 | 確定して改行を入力 |
確定タブ | 確定してタブを入力 |
空白 | 空白を入力 |
確定空白 | 確定して空白を入力 |
V異種空白 | 現在の半角・全角状態とは別の空白を入力 |
B文節伸張 | 文節を伸ばす(変換を伴う) |
B文節短縮 | 文節を縮める(変換を伴う) |
V文節伸張 | 文節を伸ばす(変換を伴わない) |
V文節短縮 | 文節を縮める(変換を伴わない) |
■メタキー、およびメタキー状態の記述方法
Meta に記述するメタキー状態には、'+', '-', '|'のいずれかを指定します。指定がないメタキーの状態は、無視されます。
'+'を指定した場合は、対応するメタキーが押下された状態であることを示します。
'-'を指定した場合は、対応するメタキーが押下されていない状態であることを示します。
'|'を指定した場合は、同様に'|'を指定したメタキーのうち、いずれか一つ以上が押下された状態であることを示します。
メタキーとして指定できるのは以下の通りです。
メタキー | 実際のキー |
---|---|
ALPH | [英数]キー(英字/日本語切替) |
KANA | [ひらがなカタカナ]キー(ひらがな/カタカナ切替) |
LSHFT | 左[Shift]キー |
RSHFT | 右[Shift]キー |
EXT | [Alt]キー(拡張) |
CMD | 左[Ctrl]キー(命令) |
使用頻度の高い特定のメタキー状態については、省略形を使用して記述することができます。
省略形 | 意味 |
---|---|
S | |LSHFT|RSHFT-EXT-CMD(シフト) |
A | +EXT-CMD(拡張) |
C | +CMD(命令) |
N | -LSHFT-RSHFT-EXT-CMD(シフト/拡張/命令のいずれも押されていない) |
†メタキー状態を省略した場合は、メタキーの状態は無視されます。
†':'を含めて省略した場合は、-LSHFT-RSHFT-EXT-CMD (シフト/拡張/命令のいずれも押されていない)を指定したものとみなされます。
■書記方向の記述方法
Meta に記述する書記方向には、以下のいずれかを指定します。
書記方向 | 意味 |
---|---|
+TORIGHT | 左から右 |
+TOLEFT | 右から左 |
+TODOWN | 上から下 |
+TOUP | 下から上 |
+HORI | 左から右、もしくは右から左 |
+VERT | 上から下、もしくは下から上 |
†指定を省略した場合は、書記方向は無視されます。
■キーの記述方法
Stat に記述できる、キーを表す名前、およびキーコードと、実際のキーボードの刻印(106/109日本語キーボードの標準キー配列の場合)との対応は以下の通りです。一部のキーは、特定のメタキーの押下の有無で異なるキーコードを発生する点に注意してください。名前の割り当てられていないキーについては、キーコードを表記することにより定義できます。
名前 | キーコード | キーボードの刻印 |
---|---|---|
HOME | 0x1245 | Home |
END | 0x125e | End |
PG_U | 0x010c | Page Up |
PG_D | 0x010d | Page Down |
CC_U | 0x0100 | カーソルキー上 |
CC_D | 0x0101 | カーソルキー下 |
CC_R | 0x0102 | カーソルキー右 |
CC_L | 0x0103 | カーソルキー左 |
SC_U | 0x0104 | Alt+カーソルキー上 |
SC_D | 0x0105 | Alt+カーソルキー下 |
SC_R | 0x0106 | Alt+カーソルキー右 |
SC_L | 0x0107 | Alt+カーソルキー左 |
IEND | 0x0004 | 右Ctrlまたはファンクションキー10 |
ASSIST | 0x001b | ファンクションキー11 |
CNV0 | 0x1151 | 無変換 |
CNV1 | 0x1152 | Shift+無変換 |
KSP | 0x2121 | 空白(スペース) |
DEL | 0x007f | Delete |
TAB | 0x0009 | Tab |
NL | 0x000a | Enter |
BS | 0x0008 | Backspace |
CAN | 0x0018 | Escまたはファンクションキー9 |
CNV | 0x001e | 変換 |
RCNV | 0x001f | Shift+変換 |
PF1 | 0x1161 | ファンクションキー1 |
PF2 | 0x1162 | ファンクションキー2 |
PF3 | 0x1163 | ファンクションキー3 |
PF4 | 0x1164 | ファンクションキー4 |
PF5 | 0x1165 | ファンクションキー5 |
PF6 | 0x1166 | ファンクションキー6 |
PF7 | 0x1167 | ファンクションキー7 |
PF8 | 0x1168 | ファンクションキー8 |
■かな漢字変換状態の記述方法
Stat には、スペースまたはタブで区切った6個の文字(○または…)により、以下のかな漢字変換状態それぞれについて、定義の対象かどうかを指定します。
未入力状態
よみを何も入力していない状態です。
よみ入力状態
よみを入力している状態です。
変換状態
よみを入力して[変換]キーを押した状態です。
候補一覧状態
候補一覧ウィンドウが現われた状態です。
よみ修正入力状態
対象文節だけを読みに戻した状態です。例えば、VJE-Delta互換キー割り当てで[Esc]キーを押した状態です。BTRONキー割り当てでは発生しない状態です。
コード入力状態
文字コードを入力してコード変換を入力した状態です。例えば、VJE-Delta互換キー割り当てで文字コードを入力して[F5]キーを押した状態です。BTRONキー割り当てでは発生しない状態です。特にコード変換機能を利用するのでなければ、考慮する必要はありません。
文字は以下のいずれかです。
文字 | 意味 |
---|---|
○ | 定義の対象である |
… | 定義の対象ではない |
■キー割り当て定義ファイルの記述の例
具体的にキー割り当て定義ファイルの記述の例を説明します。
L前候補 CC_U … … … ○ … ○
候補一覧もしくはコード入力状態で、拡張/命令/左右シフトのいずれも押さずにカーソルキー上(CC_U)を押したときには、"L前候補"を実行します。
L右移動 S:CC_R … ○ … … … …
よみ入力状態で、左右シフトのいずれかを押した状態でカーソルキー右(CC_R)を押したときには、"L右移動"を実行します。
全取消 :CAN … ○ … … … ○
よみ入力もしくはコード入力状態で、メタキー状態にかかわらず取り消し(CAN)を押したときには、"全取消"を実行します。
L変換 -CMD:CNV … ○ … … ○ …
よみ入力もしくはよみ修正入力状態で、命令キーを押さずに変換キー(CNV)を押したときは、"L変換"を実行します。
V変換 C:'C' … ○ … … ○ …
よみ入力もしくはよみ修正入力状態で、命令キーを押しながら"C"キーを押したときは、"V変換"を実行します。
V変換 C:0x2343 … ○ … … ○ …
よみ入力もしくはよみ修正入力状態で、命令キーを押しながら"C"(TRONコードで0x2343)キーを押したときは、"V変換"を実行します。
■制限事項
使用するアプリケーションによっては、一部のキーをアプリケーション側で独自に処理していることがあります。 このような場合は、かな漢字変換でのキー定義は無効となります。例えば、世界文字入力小物で[拡張+変換]にON()マークをつけると、[Alt]+[変換]のキー定義は無効となります。
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